
ナシゴレンの横に添えられている、あのふわっとした白いおせんべい。「あれは何?」と気になって、今まさに「インドネシア えびせん」と検索されたのではないでしょうか。あれは「クルプック」と呼ばれる、現地の食卓に欠かせない名脇役です。
実はこのクルプック、日本のえびせんとは似て非なるもの。乾燥したチップを油に入れると一瞬で数倍に巨大化する様子は、まるで魔法のようです。この記事では、私が現地でハマり、今では自宅に常備しているクルプックの正体から、日本での入手方法、そして絶対に失敗しない揚げ方のコツまでを徹底解説します。揚げたての熱々サクサクを知ったら、もう市販のスナックには戻れませんよ。
●この記事でわかること
- インドネシアのえびせん「クルプック」の正体
- 日本のえびせんとの決定的な違い
- 通販や業務スーパーでの賢い買い方
- 「生タイプ」を自宅でサクサクに揚げるコツ
- 現地流の美味しい食べ方と注意点
それでは、サクサクの「音」まで聞こえてきそうなクルプックの世界へご案内します。
インドネシアのえびせん「クルプック」とは?日本のえびせんとの違いを比較

インドネシアのえびせん「クルプック(Kerupuk)」は、タピオカ粉にエビや魚のすり身を混ぜて乾燥させ、油で揚げて作るサクサク食感の揚げせんべいです。日本のえびせんべいと見た目は似ていますが、主な原料や製法が異なるため、より軽くふんわりとした口当たりが特徴です。
クルプックの正体|タピオカ粉とエビで作る「現地の名脇役」
インドネシアを旅したことがある方なら、食堂(ワルン)のテーブルに置かれた大きなプラスチック容器に入った白いおせんべいや、ナシゴレンの横に必ず添えられているアレに見覚えがあるはずです。それが「クルプック」です。
クルプックの主原料は、キャッサバ芋から採れる「タピオカ澱粉」。これにエビのすり身などを練り込み、薄く伸ばして天日で乾燥させたものを、食べる直前に油で揚げて作ります。
- 名前の由来: 「クルプック」という言葉は、食べた時の「サクサク」「パリパリ」という擬音に由来すると言われています。
- クルプック・ウダン: 特にエビ(インドネシア語でウダン)を使ったものを指します。日本人がイメージする「インドネシアのえびせん」はこれです。
私(アジアシーカー)も30年前に初めてバリ島を訪れた際、どんな料理を頼んでも当然のように付いてくるこのお菓子に驚きました。「食事中にお菓子?」と最初は戸惑いましたが、濃い味付けのナシゴレンと、淡白でサクサクしたクルプックを交互に食べると、不思議とスプーンが止まらなくなるのです。まさに食卓の名脇役と言えるでしょう。
注意: エビを使用しているため、甲殻類アレルギーをお持ちの方は食べないようにしてください。
日本のえびせんと何が違う?製法と食感を徹底比較
「日本のえびせんべいと同じじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実は決定的な違いがあります。それは「焼いているか、揚げているか」です。
日本の代表的なえびせん(愛知県特産など)は、一般的にデンプンとエビを混ぜて「焼成(焼く)」して作られます。一方、インドネシアのクルプックはタピオカ粉を主体とし、油で一気に「揚げる」ことであの独特の膨らみを生み出しています。
わかりやすく表で比較してみましょう。
| 特徴 | インドネシアのクルプック | 日本のえびせんべい(伝統的) |
| 主な原料 | タピオカ澱粉 + エビすり身 | 馬鈴薯・甘藷デンプン + エビ |
| 調理法 | 油で揚げる | 鉄板で焼く(一部揚げ菓子もあり) |
| 食感 | ふわっと軽く、口溶けが良い | パリッと硬め、バリバリした歯応え |
| 風味 | 油のコクとエビの旨味 | 素材そのものの香ばしさと甘み |
| 膨らみ方 | 元のサイズの2〜3倍に巨大化 | 焼成により少し膨らむ程度 |
日本のえびせんは明治時代に中国から伝わった製法が独自に進化したものですが、クルプックは東南アジア全域で古くから親しまれてきたスタイルです。「ビールのつまみならクルプック、お茶請けなら日本のえびせん」といった使い分けもおすすめですよ。
種類はエビだけじゃない!魚・野菜・苦いチップスなどバリエーション
実はクルプックには、エビ以外にも驚くほど多くのバリエーションがあります。現地では地域の特産品に合わせて、様々な素材が練り込まれています。
- クルプック・イカン(魚): サワラなどの魚肉を使ったもの。エビよりもあっさりしていて魚の旨味が強いのが特徴です。
- 野菜・ガーリック風味: 業務スーパーなどで見かけるカラフルな花のような形をしたクルプックは、ニンニクや野菜エキスで味付けされたものが多く、エビ不使用の場合もあります(※成分表示は要確認)。
- ウンピン(Emping): メリンジョという木の実を叩いて潰して揚げたチップス。独特のほろ苦さがあり、大人の味です。ビール党にはたまりません。
- 皮(クリット): 牛や水牛、時には豚の皮を揚げたものもあります(※豚皮はハラルではないため、バリ島や中華系コミュニティで見られます)。
ちなみに、かつてインドネシアを統治していたオランダでも、クルプックは「Kroepoek(クロポック)」と呼ばれ、ポテトチップスのように国民的なスナックとして定着しています。海を超えて愛される味なんですね。
現地流の美味しい食べ方|ナシゴレンやガドガドに添えて
クルプックを手に入れたら、ぜひ現地流の食べ方で楽しんでみてください。単体で食べるのも美味しいですが、料理と合わせることで真価を発揮します。
- ナシゴレン(炒め飯)に添える定番中の定番です。スプーンでナシゴレンをすくい、クルプックに乗せて一緒に口へ運ぶのがツウの食べ方。辛いサンバルソースの刺激をクルプックが和らげてくれます。(→本格ナシゴレンのレシピ記事はこちら ※内部リンク提案)
- ガドガド(温野菜サラダ)のトッピングに茹で野菜に甘辛いピーナッツソースをかけた「ガドガド」には、砕いたクルプックを散らします。野菜のシャキシャキ感とクルプックのカリカリ感が絶妙なハーモニーを生みます。
- ディップして食べるチリソースやマヨネーズ、アボカドディップなどをつけて、パーティーのフィンガーフードとして出すのもおしゃれです。湿気やすいので、食べる直前に揚げるのが一番のポイントです。
日本でインドネシアのえびせんは買える?通販や業務スーパーでの入手方法

ネット通販なら確実かつ種類も豊富に入手でき、実店舗では「業務スーパー」や輸入食品店で取り扱われていることが多いです。ただし、日本のスーパーのお菓子売り場にはほとんど置いていないため、探す場所を間違えないことが重要です。
ネット通販(楽天・Amazon)で買える人気商品と選び方
最も確実な入手ルートは楽天市場やAmazonなどのネット通販です。「インドネシア えびせん」「クルプック」と検索すれば、多くの商品がヒットします。
中でも特に有名で、現地の味を再現できるのが「FINNA(フィナ)」というブランドです。インドネシアで最もポピュラーなメーカーの一つで、レストランでもよく使われています。
▼ 通販で選ぶ際のポイント
- ブランド: 「FINNA」や「KOMODO」などが定番。
- サイズ: 200g〜500g入りの袋が一般的。乾燥状態なので200gでも揚げるとかなりの量になります。
- 価格と送料: 商品自体は数百円〜千円程度ですが、送料がかかる場合があります。賞味期限が1〜2年と長いので、数袋まとめ買いするのがお得です。
| おすすめブランド | 特徴 | 選び方のアドバイス |
| FINNA(フィナ) | インドネシア最大手。エビの風味がしっかりしており、レストラン品質。 | 初心者はまずこれを選べば間違いなし。「特選」タイプはエビ含有量が多く美味。 |
| Nusantara | コスパ重視の商品が多い。 | 普段使いやおやつ用に大量に揚げたい時におすすめ。 |
| Mariza | 本格的なスパイスや風味。 | エスニック料理好きや、少し変わった味を試したい時に。 |
私(アジアシーカー)も自宅には常にFINNAのクルプックをストックしています。急な来客時にサッと揚げて出すと、とても喜ばれますよ。
業務スーパーやカルディなど実店舗での販売状況
「送料をかけずに今すぐ食べたい!」という方は、身近な輸入食品店を覗いてみてください。特に業務スーパーは穴場です。
- 業務スーパー中華・エスニック食材のコーナーに「えびせんべい」という名称で箱入りや袋入りが販売されています。
- 特徴: 227g入りで100円〜200円台(店舗による)と非常に安価。
- 種類: 普通の「えび風味」のほか、赤・黄・白の「カラフルなえびせん(実はガーリック等の野菜味が多い)」も見かけます。お花のような形で、揚げると食卓が華やかになります。
- カルディコーヒーファーム店舗の規模によりますが、エスニックコーナー(ナシゴレンの素などが置いてある棚)で見つかることがあります。ただし常時在庫があるとは限らず、フェア開催時のみ入荷する場合もあるので、店員さんに「揚げる前のえびせんはありますか?」と聞いてみると良いでしょう。
- アジア食材店(新大久保、アメ横など)都市部にあるアジア系スーパー(ハラルショップ)なら、ほぼ確実に置いてあります。現地そのままのパッケージで売られており、種類も豊富です。
お土産にも最適!購入時は「生(未調理)」か「揚げ済み」か要確認
自分で買う時や、インドネシア旅行でお土産にする時に一番注意してほしいことがあります。それは、「揚げる前の【生】タイプ」か「そのまま食べられる【調理済み】タイプ」かを見分けることです。
日本で売られているスナック菓子はほとんどが調理済みですが、クルプックに関しては「自宅で揚げる【生】タイプ」が主流です。
- 生(Uncooked / Mentah):
- 見た目:硬いプラスチックの板のようで、小さく凝縮されている。
- 特徴:自分で油で揚げる必要がある。 手間はかかるが、揚げたての味は格別。
- 見分け方:袋を振ると「カチカチ」と硬い音がする。パッケージに調理例(フライパンの絵など)がある。
- 調理済み(Ready to eat / Matang):
- 見た目:ふわっと膨らんでいて、袋がパンパン。
- 特徴:袋を開けてすぐ食べられる。
- 見分け方:かさばる。日本のポテトチップスと同じ状態。
ネット通販や業務スーパーで売られている箱入りのものは、ほとんどが「生タイプ」です。「お菓子を買ったつもりだったのに、硬くて食べられない!」とならないよう、必ず裏面の説明書きを確認してください。
個人的には、断然「生タイプ」をおすすめします。油に入れた瞬間に「フワッ」と数倍に膨らむ魔法のような光景は、何度見ても楽しいものですし、何より揚げたての熱々サクサクは市販のスナックでは味わえない美味しさです。
自宅でサクサクに揚げるコツ!失敗しない調理手順とカロリーの注意点

自宅でクルプックを美味しく揚げる最大のコツは、「しっかり乾燥させたチップ」を「170℃以上の十分な温度」で一気に揚げることです。温度が低かったり湿気を含んでいたりすると、全く膨らまずに硬いプラスチックのような状態になってしまうので注意が必要です。
失敗しない基本の揚げ方|油温170℃で数秒が勝負
クルプック調理はスピード勝負です。油に入れてから揚がるまで、わずか数秒〜10秒程度しかかかりません。目を離さずに以下の手順で行ってください。
▼ 用意するもの
- 深めのフライパン(油は底から3cm程度でOK)
- 菜箸、油切りバット
- 温度計(あればベスト。なければ菜箸の泡で判断)
▼ サクサクに揚げる4ステップ
- 油を温める(170℃〜180℃)温度が低いと失敗します。菜箸を入れた時、シュワシュワと勢いよく泡が出る状態までしっかり加熱してください。
- 少量ずつ投入する一度にたくさん入れるのはNGです。膨らむと体積が3倍以上になるため、1回につき2〜3枚ずつ入れましょう。
- 菜箸で押さえながら泳がせる油に入れると一瞬沈み、すぐに「フワッ」と浮き上がって巨大化します。この時、菜箸で軽く押さえて油に浸らせると、ムラなくきれいに開きます。
- 色がつく前に引き上げる全体が白く膨らみ、ほんのりきつね色になりかけたらすぐに引き上げます。余熱でも火が通るため、「まだ白いかな?」くらいがベストタイミングです。
筆者の体験談:
私も最初は「まとめて揚げてしまおう」と一度に10枚ほど投入し、フライパンの中で膨らみすぎてお互いにくっつき、巨大な塊にしてしまったことがあります(笑)。「欲張らず数枚ずつ」が鉄則ですよ。
よくある失敗例と対策|膨らまない・焦げる・固いときは?
「レシピ通りやったのに美味しくできない」という場合、原因は「湿気」か「温度」のどちらかです。
| 失敗の状態 | 原因 | すぐできる解決策 |
| 芯が固くて膨らまない | チップが湿気ている または油温が低い(160℃以下) | 【重要】 揚げる前にチップを天日で1時間干すか、電子レンジで数十秒温めて水分を飛ばす。 油の温度を180℃まで上げる。 |
| すぐに焦げて苦い | 油温が高すぎる(200℃以上) 揚げ時間が長い | 火を弱めて油温を下げる。 投入して膨らんだら、2〜3秒ですぐに取り出す。 |
| 全体的に油っぽい | 油温が低い | しっかり170℃以上に熱してから投入する。 揚げた後はキッチンペーパーの上で立てて油を切る。 |
特に日本は湿度が高いため、開封してから時間が経ったクルプックは湿気を含んで膨らみにくくなります。「揚げる前に干す(乾燥させる)」というひと手間で、仕上がりが劇的に変わります。
油を使わない調理は可能?電子レンジやエアフライヤーの検証結果
「揚げ物は準備が面倒」「カロリーを抑えたい」という方のために、油で揚げない方法も検証されています。ただし、一応食べられるが、揚げた時の食感には及ばないのが現実です。
- 電子レンジ調理:耐熱皿に並べて加熱するとある程度膨らみますが、加熱ムラができやすく、部分的に非常に硬い芯が残ることが多いです。食感も「サクサク」というより「ガリガリ」に近くなります。
- エアフライヤー(ノンフライヤー):そのまま加熱するだけでは不十分ですが、ハケで表面に薄く油を塗ってから200℃前後で加熱すると、比較的きれいに膨らみます。油で揚げるよりヘルシーで、レンジよりは美味しく仕上がります。
「どうしても油を使いたくない」という場合はエアフライヤーがおすすめですが、あの「口の中でシュワッと溶ける軽さ」を楽しみたいなら、やはり少量の油で揚げることを強く推奨します。
食べる前の注意点|高カロリー対策と甲殻類アレルギーについて
最後に、美味しく安全に楽しむための注意点です。
1. 食べ過ぎ注意(カロリー管理)
クルプックは油を吸っているため、カロリーはポテトチップスと同程度(100gあたり500kcal前後)になります。軽い食感でつい手が伸びてしまいますが、お茶碗一杯のご飯以上のカロリーを摂取してしまうことも。
- 対策: 食べる分だけ(20g程度)を揚げて、残りは乾燥したまま保存しましょう。
2. 甲殻類アレルギー
記事冒頭でも触れましたが、クルプック・ウダンにはエビのすり身がしっかり練り込まれています。
- 対策: エビアレルギーの方は絶対に摂取しないでください。また、エビ不使用の野菜クルプックや、タピオカのみのチップスであっても、製造ラインを共有している可能性があります。微量でも反応する方は避けるか、成分表示を厳密に確認してください。
クルプックは、正しく調理すれば日本の食卓に「アジアのときめき」を運んでくれる素晴らしい食材です。ぜひ今度の週末、パチパチという音と共に膨らむ魔法を楽しんでみてください!
【まとめ】インドネシアのえびせん「クルプック」で自宅をバリ島の食卓に

ここまで、インドネシアのえびせん「クルプック」の魅力と、美味しく揚げるコツについてご紹介しました。最後に記事のポイントを振り返り、あなたの食卓に取り入れる準備をしましょう。
- 違いを知る: 日本のえびせんとは違い、タピオカ粉が生む「ふわっと溶ける食感」が最大の特徴です。
- 入手する: 業務スーパーや通販で「生タイプ(未調理)」を探しましょう。迷ったら現地の定番ブランド「FINNA」を選べば間違いありません。
- 調理する: 湿気は大敵です。食べる直前に170℃以上の油で一気に揚げることが、お店のようなサクサク感を生む鉄則です。
- 味わう: 単体のおやつとしてはもちろん、ナシゴレンに添えたり、ディップソースにつけたりと現地流のアレンジも楽しめます。
- 注意点: ついつい手が伸びてしまいますが、高カロリーな揚げ物であることと、エビアレルギーには十分ご注意ください。
自宅で揚げたてのクルプックを一口食べれば、その軽さとエビの香ばしさにきっと驚くはずです。ぜひ今度の休日は、パチパチと弾ける音と共に、インドネシアの風を自宅で感じてみてください。


